弊社技術ブログでは、デスクトップ PC を使い、監視カメラの RTSP 映像をリアルタイムで取得し、顔にモザイク処理をかけて YouTube Live 配信を行った 技術検証の内容 を紹介しています。本記事は、その検証をミニPC 「Minisforum UM760 Slim」で実施した際の記録です。
使用したミニ PC の概要
- 製品名:Minisforum UM760 Slim
- CPU:AMD Ryzen™ 5 7640HS
- GPU:AMD Radeon™ 760M(ハードウェアエンコード対応)
- 筐体サイズ:126.8 × 130 × 50 mm
- 重量:約 595g
- 消費電力:最大 120W(付属 19V/6.32A AC アダプター使用、5.5mm/2.5mm DC プラグ)
同梱物
UM760 Slim 本体を中心に、電源アダプター、電源ケーブル、HDMI ケーブル、VESA マウント、取り付けネジ、取扱説明書(日本語対応)が簡易パッケージで同梱されていました。

インターフェース
前面パネルは電源スイッチ、USB3.2 Type-A x 2、3.5mm コンボジャック、リセット穴

背面パネルは DC19V、2.5G LAN、HDMI2.1、USB4、DP1.4、USB2.0 x 2

※製品仕様の詳細は 公式サイト をご確認ください。
検証背景と目的
本機を購入した目的は、監視カメラの RTSP ストリームから映像を取得し、顔モザイク処理を適用したライブ映像を YouTube に長時間配信できるかどうかの負荷検証にありました。開発段階では高性能デスクトップ PC で動作確認済みでしたが、小型端末でも同等の処理負荷に耐えられるかを確認する必要がありました。
比較として、前回の検証では「Jetson Orin Nano(Linux 対応・5 万円台)」でも同じプログラムを動作させましたが、CPU 性能不足とハードウェアエンコーダー非搭載のため動画処理に適さず、YouTube Live 配信には不向きであることが確認できました。
実際の動作チェック
顔モザイク処理のプログラムは GitHub で公開されている face-mosaic-youtube.py を使用しました。
python face-mosaic-youtube.py "rtsp://camera/stream" "xxxx-xxxx-xxxx-xxxx"
上記コマンドを実行し、木曜日から水曜日までの長時間連続配信を実施しました。その結果、映像取得 → 顔検出 → モザイク →YouTube 配信の処理パイプラインは、開発用デスクトップと同等に安定動作し、処理落ちや配信停止なく維持できました。
Windows 環境の優位性とミニ PC の実用性
Jetson Orin シリーズはハードウェアエンコード性能やワットパフォーマンスの高さが魅力ですが、上位モデルは 15 万円前後と高価です。一方、本機は 6 万円台で購入でき、Windows 環境による導入の手軽さとライブラリ互換性の高さにより、AI 画像処理やライブ配信の PoC 用途において優位性があります。
そのため「低コスト・簡易運用で YouTube 配信付きの画像処理 PoC を回すなら Minisforum UM760 Slim のような Windows ミニ PC は十分な選択肢になる」という結論になります。特に、専門的な Linux 環境構築や GPU 推論パイプライン調整前の初期 PoC フェーズでは高い実用性を示してくれました。