post-cover

2023-02-20 技術ブログ

AHD・HD-TVIに関する情報

はじめに

日本では監視カメラは1970年代に銀行や証券会社など金融業界を中心に導入されました。 1980年代になると金融業以外の業界にも普及し、1990年代にはビデオカメラの低価格化が進み、マンションなど家庭用にも普及していきました。 1998年にHD画質対応の映像伝送規格HD-SDIが登場しました。しかしカメラ本体が高価格であり、伝送距離が既存のアナログカメラより短かく、既設の同軸ケーブルが使えないといった制約により普及が進みませんでした。

2013年に既設の同軸ケーブルのままHD画質の映像を伝送できる規格、アナログHD(AHD、HD-TVI、HDCVI)とこれらの規格に対応した監視カメラが登場し、アナログカメラからアナログHDカメラへのリプレースが進んでいきました。

本記事ではAHD、HD-TVI、HDCVIについて解説します。

AHDとは

AHD(Analog High Definition)とはアナログ規格で高画質の映像出力を可能とした映像プロトコルです。韓国のNextchip社によって開発されました。 HD以上の高解像度デジタル映像データを非圧縮でアナログ映像に変換し、同軸ケーブルで最大500m(3C-2V:200m、5C-FB:500m)までの長距離伝送が可能です。 AHDは2021年現在、4種類のバージョンが存在し、最大解像度はVer1.0:1280x720、Ver2.0:1920x1080、Ver3.0:2592x1944、Ver4.0:3860x2160となっています。

アナログHDカメラの中で最も低コストで導入できるため、日本ではAHDが最もシェアが高く、ラインナップも豊富です。

HD-TVIとは

HD-TVI(High Definition Transport Video Interface)とはAHD同様にアナログ規格で高画質の映像出力を可能とした映像プロトコルです。米国のTechpoint社によって開発されました。 AHD同様に4種類のバージョンが存在し、最大解像度はVer1.0:1280x720、Ver2.0:1920x1080、Ver3.0:2592x1440、Ver4.0:3860x2160となっています。

HD-TVIはAHDより若干高画質ですがAHDよりも高コストであるため、日本ではAHDよりシェアが小さく、ラインナップも少なくなります。

HDCVIとは

HDCVI(High Definition Composite Video Interface)とはAHD同様にアナログ規格で高画質の映像出力を可能とした映像プロトコルです。中国のDahua社によって開発されました。 AHD同様に4種類のバージョンが存在し、最大解像度はVer1.0:1280x720、Ver2.0:1920x1080、Ver3.0:2592x1944、Ver4.0:3860x2160となっています。

HDCVIはAHDよりも高画質であり、コストはほぼ同じですがDahuaと同メーカーのOEMしか供給元がなく日本ではあまり見かけません。

各映像方式の比較

項目 アナログ AHD2.0 HD-TVI2.0 HD-CVI2.0 IPカメラ HD-SDI
最大解像度 960×582 1920x1080 1920x1080 1920x1080 1920×1080 以上 1920×1080
画質 最高
遅延 小さい 小さい 小さい 小さい 大きい 小さい
互換性 幅広く互換性あり AHDのみ HD-TVIのみ HD-TVIのみ ONVIFにて HD-SDI規格のみ
価格 低価格 低価格 低価格 低価格 高価格 高価格
最大伝送距離 3C-2V:100m、5C-FB:300m 3C-2V:200m、5C-FB:500m 3C-2V:200m、5C-FB:500m 3C-2V:200m、5C-FB:500m LANケーブルにて100m 5C-FBにて100m
使用ケーブル 3C-2V、5C-2V、5C-FB 3C-2V、5C-2V、5C-FB 3C-2V、5C-2V、5C-FB 3C-2V、5C-2V、5C-FB LANケーブル 5C-FB
電源重畳 電源重畳ユニット 電源重畳ユニット 電源重畳ユニット 電源重畳ユニット PoEによる給電 電源重畳ユニット
遠隔設定とPTZ UTC機能により同軸で可 UTC機能により同軸で可 UTC機能により同軸で可 LANケーブルにて可 RS-485で可

解像度サイズ比較

ahd-resolution

2021年、主流の解像度はフルHD(1920x1080)です。 4k(3840x2160)対応のカメラやレコーダーも増えてきています。

HD-SDIとの違い

HD-SDIは非圧縮のフルHD映像をデジタル信号で伝送します。そのため、ノイズ耐性が強く、AHD等の同軸アナログHD規格よりも高画質です。 デメリットは3つあり、高コストの原因となっています。

  1. カメラ本体が高価格
  2. 長距離伝送するにはリピーターや電源重畳ユニットが必要
  3. 伝送距離の都合上、硬くて太い5C-FBケーブルを使うことが多く、カメラ台数が増えるほど配線が複雑化する

IPカメラとの違い

  1. アナログHDカメラよりもカメラ本体が高価格
  2. 最大伝送距離が100m程度
  3. 映像に遅延が生じる
  4. ネットワークの知識が必要

AHDの互換性について

2021年現在、AHDには4つのバージョンが有ります。

AHD 1.0

  • 最大解像度は1280x720
  • 同軸ケーブル経由でのカメラ制御機能なし

AHD 2.0以降

  • 最大解像度はVer2.0:1920x1080、Ver3.0:2592x1944、Ver4.0:3860x2160
  • 同軸ケーブル経由でのカメラ制御機能あり

AHD1.0とAHD 2.0の互換性

1.AHD1.0のカメラはAHD2.0のレコーダーに接続可能です。

  • カメラの制御等は出来ません。
  • カメラやDVRの製造メーカーにより接続できない場合が有ります。
  • メーカーが変わると接続できてもノイズが発生したりモノクロ等になる場合が有ります。
  • 弊社はAHD1.0非推奨です。

2.AHD2.0のカメラをAHD1.0のレコーダーに接続する場合はカメラの解像度を720pにする必要が有ります。

  • カメラの制御等は出来ません。
  • カメラやDVRの製造メーカーにより接続できない場合が有ります。
  • メーカーが変わると接続できてもノイズが発生したりモノクロ等になる場合が有ります。
  • 弊社はAHD1.0非推奨です。

3.他社AHD製品との接続について

  • AHDのICにはバージョンの違いの他数種類のチップが有ります。
  • AHDには周辺回路の違いが有ります。
  • 弊社は最新のチップを採用しています。
  • 弊社製品以外にて全てについて互換性を保証するものでは有りません。

AHD及びHD-TVIカメラのアナログ出力アスペクト比(画像の縦横比)について

1.AHD/HD-TVIカメラは従来のアナログ出力に対応しています。

出力切り替えでAHDとアナログを切り替える事が可能です。 従来のCCDカメラは縦横比が4:3でした、最近はワイドスクリーンとなり縦横比が16:9になりました。 AHD/HD-TVIカメラのアナログ出力はワイドスクリーンに対応しています。

サンプル映像

弊社のAHDカメラ TLC-80Mの映像サンプルです、AHD2.0の1920×1080/30fpsの映像です。


販促ページ